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3F| ラグ&カーペット ティーズ
「パパ、私のお小遣い使っていいよ」自宅階段用ペルシャ絨毯を購入→階段で眠るほどお気に入りに・・・
高級品のイメージが強いペルシャ絨毯。言葉としてはよく耳にするが、実際はどのようなものなのかよくわからないという人も多い。そんなペルシャ絨毯の魅力を発信し続けているのが、3F:「ラグ&カーペット ティーズ」のオーナー、玉木康雄さんだ。
「ラグ&カーペット ティーズ」では1979年のイラン革命以前に製作されたペルシャ絨毯を中心に扱う。玉木さんはペルシャ絨毯の魅力をより多くの方に知ってもらうために、15年前からブログを書いているのだという。一般的にはわかりづらい商品であるペルシャ絨毯やいろいろな部族の手織絨毯であるトライバルラグについて紹介し、その魅力を発信。ブログを読み込み、知識を身につけてから店に初めて来店する人もいるそうだ。「常連の方の中には記事を何十回と読み込んでくださり、書いた本人である私が忘れているようなことを覚えている方もいます」と玉木さん。
数々のペルシャ絨毯を販売してきた玉木さんが、特に印象に残っている絨毯があるという。それは「ランナー」と呼ばれる、幅が80センチほどの廊下に敷くような細長い絨毯で、長さ8メートルのもの。通常であれば2メートルほど、長くて3メートルのものが多い中、この絨毯はその倍以上の長さがあった。幅のあるものは制作時に何人かで喋りながら織っていくようだが、幅80センチのものは一人で作業を行う。玉木さんは、一人で黙々と長さ8メートルも織っていったその心意気を買い、その絨毯を仕入れたのだという。とはいえ、長さ8メートルの廊下がある家庭はそう多くないので、しばらくはお店の方で保管されていた。
ある日、顧客の家に絨毯を納品に行った際、玄関を入ってすぐの場所に折り返しのないまっすぐの階段があるのが目に入った。ピンと来た玉木さんは、「ここにぴったりのものがあるので一度見てください」とお願いし、次に家を訪れるタイミングで長さ8メートルの絨毯を持参。階段に設置してみると幅と長さも見事に合致したのだそう。その家主が購入するかどうか迷っていると、その絨毯を気に入って大喜びしていたという子どもが「パパ、お金がないなら私のお小遣い使っていいよ」と声をかけ、それだけ気に入っているならと購入したのだという。玉木さんは「その子どもさんは何回か階段で寝たこともあるほどお気に入りだったようです。遠い国で作られた絨毯を、気に入ってくれる人の元へと橋渡しができるのはとても楽しいことですね」と笑顔で話していた。
店内には数えきれないほど多くのペルシャ絨毯が並んでおり、少し変わった絨毯も紹介してもらった。シラーズのヘイダリアン工房で織られた絨毯には、ペルシャの英雄・ロスタムが描かれている。身長が260センチあったとも言われているペルシアの王書シャー・ナーメに登場する英雄だそう。この絨毯は個人のお宅に新品のまま25年ほど置かれていて、バザールに持ち込まれたものだという。他にもライオンや人間の顔などが描かれたものがあり、こちらもテヘランの個人宅に保管されていたものを入手したのだそう。玉木さんは「ハクション大魔王の壺みたいな感じで、なかなかの個性派です」と表現していた。
店内にはこうした特徴的なものから、人気の柄まで豊富な品が並ぶが、これは玉木さんが長年かかって開拓した仕入れルートの賜物のようだ。
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