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1F| 石田洋服店
スーツを長持ちさせるコツは「一日おき」 明治天皇ご着用の服を所有する「石田洋服店」に聞いた
これからの梅雨の時期、ジメジメして過ごしにくい日々が続くが、特にサラリーマンはスーツを着用する日々を送る人も多い。一説には、梅雨やその先の夏場にスーツの着用の仕方が悪いと、スーツの寿命が短くなってしまうという。そこで、オーダーメイドスーツの販売を行い、明治天皇ご着用の服を保有する1F:テーラー「石田洋服店」の代表、石田原弘さんに話を聞いた。
様々な服のデザインを担当し、春夏物・秋冬物それぞれでスーツ5着、ジャケット5着は着まわすという石田原さんに、まずは、スーツを長持ちさせるためにはどうすればいいのか尋ねた。「(スーツの素材に使われる)ウールは水分に弱いので、汗が生乾きの状態で着用するとすぐに傷んでしまいます。せめて一日おきに着用することによって、かなり長持ちします」とのこと。また、「パンのくずや食べこぼしは、虫食いの大きな原因になりますので、ブラッシングも大事です」と、石田原さんは日頃の手入れも勧める。
石田原さんによると、スーツを着用する際の注意点は他にもあるという。
「まずは着こなす以前の問題として、ご自身のサイズに合っていないスーツを買ってしまっている人がいます。せめて、ご自身のスリーサイズ(バスト〈男性はチェスト〉、ウエスト、ヒップ)を把握しておけば、極端に間違ったサイズのものは買わなくて済みます」。
スーツとセットで語られるネクタイについては「ネクタイは、おしゃれにとって非常に重要かつ、オシャレの難易度を下げる便利なアイテムです。アイテムが減るほど、オシャレに見せるのは難しくなるので、スーツとシャツだけでオシャレを演出するのは至難の業です」と言い、「これからの時期にオススメするのがニットタイ。涼しげで、外してカバンに入れておいてもシワになりにくいですよ」とアドバイスする。
石田原さんは「神戸タータン協議会」の会長も務めている。神戸タータンとは、神戸の街をイメージしたチェック柄。みなと神戸の海の青をベースに、街の建物の真珠の白、ポートタワーなどの赤、六甲山の緑で描かれ、本場スコットランドのタータン協会にも登録認定されている。
来年度から神戸市立の全中学校に制定される標準服には、この神戸タータンが随所に使われるという。標準服の大きな特徴の一つが「ジェンダーフリー」で、男子服・女子服の区別がなくなり、性別を問わず好きな服を着ることができるようになるそうだ。
さらには、貴重な服が神戸にあるということで見せてもらった。
「明治天皇が生前に着用されていた服を持っています。普段は軍服を着ておられたので、これは部屋着です。崩御の後に、形見分けとして、ある子爵の方がもらわれたとのことで、テーラーだった私の祖父がその方から譲り受けたそうです。ただ、明治天皇は極度の写真嫌いで、生涯で3枚ほどしか残っていないと聞いていて、この服を着た写真も当然ながらありません。写真があれば……」(石田原さん)
残念な思いを石田原さんは明かしてくれたが、「証し」は残っておらずとも、貴重な服を神戸に招いた祖父の代からの歴史、培われてきた経験が何よりの宝。豊富な知識とスーツや衣服に対する愛情を持つ石田原さんのような店主がいるお店で、長く愛せる一着を見つけたいものだ。
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