VOL.31

2025.03.14 FRI.

songdream KOBE

TOPWATER
TACKLE,s

スポーツフィッシングの中でもマグロやカジキなどのビッグゲームに特化したマリンショップ。巨大なショップ面積を持ち、フィッシングや船用品の全般を取り扱っている。大会への多彩な出場歴を持つオーナーは専門的な知識と豊富な実践経験を有している。扱う商品はすべてオーナーが使用し、その実体験をもとにアドバイスを行う。

神戸ファッションマート3F

songdream KOBE

店に入ると潮の香りがするような気がする。港にいるような錯覚さえ覚える。現実であるはずはない。それだけ、この店が海を感じさせるということだ。展示品に囲まれていると、海へ行きたくなってくる。船上のひとになりたくなる。
さて、そんなお店の“うちのいちばん人気”とは?
いったいどんなものだろう。きっと、スポーツフィッシングの愛好者受けするものであろうということは想像できる。店を案内しながら語りかけてくる福江さんのお話は、まるで接客トークのようだ(なるほど、前職はアパレルの営業マン)。すべるような語り口の、お話に引き込まれていく。

商品課 福江隆悟さん

名古屋でアパレルメーカーに勤務していたころ、会社として副業がOKになり、釣りが好きなので釣り船のアルバイトをする。いつしか、釣り船が本業になった。そこの船を紹介したのがトップウォーターの社長である青沼さんだった。その釣り船屋さんを辞めることになったときに、青沼さんから「うちへ来いよ」と誘われて、入社。海自体が大好きなので。とても、やりがいがある楽しい毎日を送っている。

取扱店そのものがあまりない。
うちオリジナルのカスタムロッドがいちばん人気です。

 店の中を通り抜けて、今回ご紹介いただく、商品の前に案内された。そこで、目にしたものを見て、「トローリング用のロッド(竿)って、こんなデザインなんだ」「へー、でっかいリールだなあ」という、かなり素人目線の感想を持った。そのロッドの名は、“ペッシュスパーダ”。イタリア語でブルーマリーンという意味だとか。トップウォーターさん自慢の完全オリジナルだ。トローリング自体が専門的なジャンルで限られた愛好家のもの。それだけに、タックル(ロッドやリールなど釣り道具のことを指す専門用語)を扱うショップはもちろん、展開するメーカーも少ない。この店の代表者である青沼社長が実際にテストを繰り返し、自信を持って取り扱っている。粘り強く安定したファイトができること。そして、大物を狙うトローリングに最適な仕様に仕上がっている。

最近は近海でも、かなり大型のカジキやマグロに出会えるチャンスが増えていて、対応できるタックルの需要が増えてきているそうだ。付け加えると、5色のカラー展開も人気の理由だ。何故かといえば、トローリングはひとつの竿に獲物がかかると、他の竿は海から引き上げておかないと、かかったひとの邪魔になる。その点、色が違っていれば、分かりやすくて便利なのだ。ロッドといえば、リール。リールに関してはカジキなどを釣るサイズやパワーのリール自体が少ないから、取り扱っているお店も少ない。いちばん人気はオリジナル商品ではないそうだが、“オクマ マカイラ ドラグリールMK-80WⅡ”という商品だ。人気の理由は耐久性。大きなリールでも、でかい魚を相手にするから、そのうちにガタが出てきたりすることがあるらしいが、それでは困るのだ。お客さまが、よく使い込んだからとメンテナンスに出したら、どこにもダメージがなかったというエピソードがある。このリールは、それくらい耐久力があるそうだ。そして、色が気になるひとは多いらしい。やっぱり、だれもが持っているようなカラーリングでは嫌なのは、わかるなあ。ゴールドを取り扱っている店はほかにもあるが、シルバーとマットブラックはトップウォーターさんだけのオリジナルになる。ブラックはもともとアメリカだけのカラーリングで日本にはまったく無かったタイプだったが、別注でつくっている。これが、いま、一番人気があるそうだ。こちらは、トローリング以外でも幅広いジャンルで使えるのも、注目を集めている理由だ。
釣具、ボート用品などの豊富な品ぞろえのこのお店の中でも、タックルは直接来店して選ぶ方が多いという。いまはタックルをネットで買うひとが多くなっているが、やはりフィーリングは大切なので、実際に見て触れて選ぶことを福江さんは推奨する。だから、遠方から来られる方も多く、関東からのお客さまもいるとのことだ。

なんと、このタックルで日本記録が出た。

 2023年3月のこと、今日ここでご紹介いただいた“ペッシュスパーダ” “オクマ マカイラ ドラグリールMK-80WⅡ”をお使いになっているお客さまが、なんと!493kgのクロカワカジキを釣り上げたのだ。これは、クロカワカジキの日本記録だそうだ。場所は与那国島。この海域にはまだ巨大なグランダー(1000ポンドオーバーのモンスターカジキ)がいることの確認になったとのこと。まさに快挙を成し遂げた。さすがは、この店の、いちばん人気コンビだ。トップウォーターさんの年間フィッシングダービーで堂々のトップに輝いた。日本国内ではダントツの最重量だそうだ。おめでとうございます!493kgの相手とのファイトって、どんなものなのでしょうねえ。相当の時間がかかるけど、助けを借りずひとりで上げるそうだ。その達成感たるや、相当でしょうねえ。聞いただけで、腕がしびれてきました(笑)。皆さんでお祝いに食べたのだろうか。そんな、他愛もないことを考えてしまうのでした。しかし、一生に一度くらい、トローリングを体験したいものですね。(与論島あたりの南の島で!)

トローリングは釣りとは言わない。“スポーツフィッシング”と言われる。ひとと魚の1対1の戦い。まさに、格闘技スポーツのようなものなのだ。なんだか、ロマンがあるなあ。おっと、ロマンではなく「浪漫」という字が似合いそうだ。子どものころに読んだ、「老人と海」への憧れに通じる。じぶんは海の側で育ったので、子どものころから釣りは身近にあった。瀬戸内なので、大きな魚は釣ったことがない。砂浜や堤防からの投釣り専門だった。100kg,200kgの魚なんて想像もできない。ひとと魚の格闘技、スポーツ競技としての釣り。体験してみたいなあ。

インタビュー&ライティング 田中有史

 

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