VOL.23
2025.1.15.WED.
今回のテーマは「いままでで最高難度のご注文」である。
いかにもヨーロピアンな大型家具がいっぱいの店内。きっと、お金持ちのお客さまからの無理難題や無茶振りの面白い話が聞けるのではないか。と、勝手に想像していた。なるほど。無理難題ではないが、確かに家具の搬入や搬出でありそうな話だ。そこが解決できないと、せっかくのビジネスチャンスがオジャンになってしまう。さて、そのピンチをどうやって凌いだのか。
ストアマネージャー 片山優 さん
法人向けを中心に、販売・運営・管理など幅広い業務を担う。入社後、インテリアコーディネーターの資格を取得。自社開発の3Dソフトを自在に操り、お部屋の完成形の画像を見せながらわかりやすく家具選びをサポートしてくれる。落ち着いた物腰、オシャレな装いで好感度が高い人物だ 。
せっかく気に入っていただいたのに、
搬入できない…。
お客さまにとても気に入っていただいたソファー。お客さまとは何度も打ち合わせを重ね、ソファーのサイズや組み合わせをご提案。「では、これで」と、内容がある程度固まった段階で、大きな問題が出てきた、そんな大ピンチの話だ。どのように搬入すべきか、搬入の経路や方法を調べていくと、なんと!どうやってもそのお宅へ搬入できないことが分かったというのだ。
では、どう解決したのでしょう。
いままでもテーブルやソファベッドなどの大型家具では、搬入経路で問題が出ることはあったが、なんとか特注で凌いだこともある。ただ、今回はご提案した内容を大変気に入っていただいているので、特注にして仕様が変わったりすることをお客さまは望んでいらっしゃらない。それに特注するとコストがどうしても上がる。お客さまの負担も増えるので、なんとか特注をしない方向にしたかった。そこで、本来は一体型であるべきソファーのアームを取り外せるようにしたというのだ。その結果、搬入時はアームを外すことで、なんとか搬入経路を確保することができた。お客さまは気に入ったソファーを手に入れることができ、とても喜んでくれたそうだ。
基本、お客さまから自宅の図面を見せていただくが、図面からは分からないこと、読み取れないことも多いとか。家の中だけではなく、家の外や通路などの状況まで把握しないと、当日になって問題が発生してキャンセルにでもなれば大変だ。だから、必ずロケハンはする。ソファーの組み合わせなどによっては、希少なタイプのものもある。それだけに、当日になってキャンセルになったりすると、特殊な在庫を抱えることになってしまい、リスクも大きい。お客さまの満足度を上げるためにも、ビジネスチャンスを逃さないためにも、念には念を、慎重の上に慎重に、コトを運んでいるのだ。われわれユーザーには見えないところで苦労をされていることがよく分かった。
搬入完了までが、ブランドの一部。
搬入の作業などは提携先の運送会社に依頼することになる。しかし、運送会社さんにも“ソングドリーム”のブランドの一部という自覚を持ってお客さまと接してもらうこと。 引越し作業と家具の搬入は違う。 けっしてスピード重視ではなく、丁寧で気持ちの良い搬入を心がけてもらうよう働きかけているそうだ。
「搬入完了までが、ソングドリームというブランドの一部」。
片山マネージャーがおっしゃったそのひと言が、まさにじぶん達のブランドに対する姿勢であると思う。
今回はある意味、想像できる範囲の「 最高難度 」であったかもしれないが、搬入までがブランドの一部という、基本的な姿勢をお聞きできたことが、 耳には新鮮だった。そして、さらに片山マネージャーは「“無理です”で終わらせることなく、最後まで関係者と話し合ってお客さまのご希望に添えるよう進めていくことが、顧客満足に繋がる」と、話してくれた。
店で受けた高級イメージと同じイメージを配送のときにも感じてもらいたい。難しいことだが、大切なことだなあと、気付かされたのであります。
インタビュー&ライティング 田中有史