VOL.16
2024.11.12 TUE.
一枚板と聞いて、どんなものを想像されるだろう。いちど、お店で現物を目にするときっと、驚かれると思う。板の種類もさまざまだが、カタチ、色、表情も一枚として同じものはない。そして、長さは2メートル50センチを超えるものもある。おそらくだが、よほどでない限り、直感でこれだと決めるのは難しいだろう。それだけにお店のスタッフとの対話は重要。そして、対話しながら板を選び家具に仕立てていく過程が楽しみで良い思い出になるだろう。
というわけで、今日のテーマは「一生に何度もない買い物」。まさに、この店にお似合いのテーマである。
店長 宮島寿史 さん
もとはインテリアにゆかりはなかったが、販売に興味がありアトリエ木馬に入社して7年目。店舗責任者として、販売はもとより商品の提案、アフターフォローも担当する。九州の本社工場まで原木を見に行った経験、一枚板の納品立ち会いで得た知識をフルに生かした提案でお客さまからの信頼は厚い。
一枚板は家族とともに成長していく。
まず、一枚板そのものが希少なものであること。そして、これだけ高単価なものは家具全体の中を見渡しても類を見ないこと。そんな一枚板の基本的な特質からも“一生に何度もない”と言えるだけの買い物になる。そのうえ、無垢材は経年変化で移り変わっていく色合いや木目の風合いが、ほかの家具では味わえない、唯一とも言える魅力。傷ついても様になるし、買ったときからの予想外の(予想を超える?)変化も楽しめる。最初に希少という話が出たが、そもそも自生していること自体が珍しいと言える素材でもある。それだけにバイヤーが世界中から買い付けるコストも近年高騰している。値段は上昇傾向が止まらないようだ。
また、一枚板の場合は木に空いた穴さえもチャームポイントなので、その穴をうまくいかすように製材する職人の腕や感覚も、商品価値を大きく左右する。木によって個体差があるので、その個体差を見極める職人のセンス、ある意味芸術的な感性も問われるのだ。それだけの商品ゆえに“一生に何度もない買い物”と言えるのだ。
さらに、“一生に何度もない買い物”だけに、リフォームニーズが非常に高いのも一枚板の特長だ。お子さまが大きくなり独立すると、大きなテーブルの必要性もだんだんなくなっていく。すると小さいものがほしいというニーズが出てくるので、カットして小さくし、残材でお子さま用の家具にリメイクも可能だ。家族が成長し住まい方が変わり、そして一枚板も家族とともに成長していくわけである。
今後は、若いお客さまを増やしたい。
だいたい、一枚板がほしいと思っても、お店がどこにあるかもわからないでしょ。だから、うちの場合は、偶然に店の前を通りかかった方やHPを見て来られる方、そしてリピーターの方が多いですね。と、宮島店長は言う。
でも、今後は若いお客さまをもっと増やして行きたい。親会社である関家具はいろんなことをやっているので、たとえばゲーミングチェアなんかとコラボすれば若い層の獲得にならないだろうか。いまのままでは若い方にはハードルが高いので、一枚板の斬新な使い方を考えるとか、社内の若い声も取り入れながら、どんどん新しいことにチャレンジしたい。と、最後はお店の将来ビジョンまで話していただいたのでした。
関家具の名は覚えていた。プロ野球中継を観ていると、ある球場のネット裏看板に出てくるのだ。こんなところに広告を出すからには、大きな会社だろうなあと思っていたが、家具の総合商社である。本社のある福岡県大川市は家具の一大生産地だ。ソファー、テレビボードだけでも、さまざまな商品を展開している。だから、一枚板とさまざまなデザインの商品とのトータルコーディネイトが可能だ。一枚板=大きな家、シニアという固定概念を捨てて、あなたも“一生に何度もない買い物”体験をしてみてはいかがでしょう。
インタビュー&ライティング 田中有史